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健康講座まめ知識

息切れがしませんか?

在宅酸素療法

 在宅酸素療法とは、家庭で酸素吸入をする治療法のことで、いまでは、空気中の酸素を濃縮する酸素濃縮器が主体となっており、コンセントからの電気で作動します。そのほか、外出時などに携帯型の圧縮酸素、あるいは液体酸素も用いられています。

 現在在宅酸素療法をうけておられる患者さんで最も多いのは、

  1. 既往に肺結核の治療歴があり、人工気胸術、肺葉切除術、胸郭形成術などを受けた人
  2. 慢性肺気腫になっている人です。肺結核の既往の場合、肺が瘢痕化・繊維化し、肺が小さく、息切れもし、酸素不足となります。慢性肺気腫では、主にたばこが原因で肺胞が破壊され、肺が柔らかくなり広がって、息切れが強くなり、酸素不足も生じてきます。

 

 在宅酸素療法の適応基準は、安静時でも動脈血の酸素が足りない、あるいは運動時夜間睡眠中に酸素が不足する人ですから、疾患としては肺ガン、心疾患も含まれています。
 在宅酸素療法により、それまでできなかった外出や旅行などが可能になるなど、QOLが高まります。さらに、毎日24時間、酸素吸入をすることにより、寿命が伸びることが知られています。それは、酸素不足によって二次的に起こってくる心不全などの合併症が防止されるためもあります。

 

 肺疾患、心疾患で呼吸困難や息切れのある方の中には管酸素療法をしたほうがよい方があるかもしれません。検査は簡単ですので受診くださればいつでもご相談に応じます。

 

 

気管支喘息

 気管支は、肺へ空気が出入りする気道であり、気管支をとりまく平滑筋のれん縮、気道壁の浮腫、気道分泌物によって気管支内腔が狭くなるのが気管支喘息です。狭くなるために、「ぜーぜー」という音がしたり、呼吸困難が起こります。こういう症状が自然に、または治療によって軽快するという特徴があります。症状は、夜間から早朝にかけて憎悪する特徴もあります。

 

 原因は、アトピー素因によるアレルギー反応で起こるものがあり、その抗原の代表的なものはダニです。その他、運動によって発作が起こる運動誘発喘息は、月経に関連して憎悪する月経喘息、解熱鎮痛剤で発作が誘発されるアスピリン喘息といった分類があります。
 気管支の広がりの目安としてピークフローメーターがあり、毎日記録する事によってその程度と経過を客観的に判断することができます。

 

 治療薬は、大きく二つのカテゴリーに分けられます。一つは気管支拡張作用を期待して用いられるもので、もう一つは気道の炎症を抑制するものです。治療薬の投与経路は、注射、内服、吸入、貼付があり各々の製剤があります。

 

 治療方針を大まかに言うと、軽い発作を和らげようとするには、気管支拡張剤の吸入が使われます。重い発作の治療には、抗炎症作用のある薬剤の点滴が行われます。

 治療は発作を緩解させることももちろん重要ですが、症状のない状態を長く維持することも重要であり症状が無く日常生活を送ることができることを目標とします。

 

 

睡眠時無呼吸症候群(いびきと無呼吸)  

 睡眠中に呼吸が止まることを睡眠時無呼吸と言います。眠っているので本人は気付きませんが、たいてい、いびきを伴います。

 

 いびきは、のどのあたりが閉塞して呼吸がしにくくなり、音をたてるものです。睡眠中は筋肉の力が低下していて、のどを広げる筋力も低下しており、あおむけに寝ている場合、舌根が沈んでのどを狭くするのです。こうした上気道閉塞を主徴とするものを閉塞型無呼吸と言います。ほとんどの睡眠時無呼吸は、このタイプです。のどが閉塞しているにもかかわらず、呼吸しようと努力しているので、胸と腹の動きが逆転します。完全に閉塞すると呼吸は止まり、無呼吸となりますが、閉塞が不完全だと、いびきとなります。

 

 となりに寝ている人が、あまりのうるささに1階と2階に別れて寝ている場合もあります。いびきが止まって静かなときにこそ、呼吸が止まっているかも知れません。睡眠時無呼吸の定義は、口と鼻からの気流が10秒以上停止するというものです。なかには1分あるいは2分と長い場合もあり、まれには、眠っていて気付かぬうちに呼吸が停止したままとなり死亡する例もあります。

 

 通常は、無呼吸では覚醒しやすいことが脳波で確かめられています。夜中に時々目が覚めるということです。症状はいびき、日中の眠気、不眠、夜間頻尿、起床時の頭痛、知的能力や集中力の低下がありえます。合併症としては、高血圧症、冠動脈疾患、脳血管障害、心筋梗塞などがあります。昼間の眠気による交通事故の発生率は数倍とも言われます。また、睡眠時無呼吸症候群では、寿命が短く、重症度により、治療対象となります。精密検査で1時間に20回以上の無呼吸が治療の目安です。

 

 睡眠時無呼吸症候群の治療には、他の疾患と同様に原因を探る必要があります。閉塞型の場合の原因としては、扁桃肥大、アデノイド、肥満による上気道狭窄、上気道筋の緊張低下による舌根沈下などがあります。閉塞型以外に、胸部と腹部の、呼吸をする動きが止まるタイプがあります。

 高齢の方や脳血管障害、心不全の場合、呼吸が大きくなったり小さくなったりするのが見ていると分かることがあります。そうした原因を知ることが重要ですが、睡眠時無呼吸症候群の大部分は閉塞型であり、つまり、睡眠中に上気道が閉塞することが機能的な原因であることから、閉塞を取り除く治療が中心となっています。

 

 一般的に言えば、体重減量法、持続陽圧呼吸療法、歯科装具、外科手術、薬物療法が挙げられます。このうち最も基本的なのは、肥満の解消で、これで睡眠時無呼吸が消えてしまう人があります。
 肥満の人はいびきをかきやすく、また、無呼吸も生じやすくなります。現在の主流は、持続陽圧呼吸療法です。鼻を覆うマスクを付け、そのマスクに装置から空気を送り込みつづけ、マスクの一部の狭い隙間から空気を逃し、マスクの中を陽圧とし、鼻腔と口膣も陽圧に保つ方法です。この陽圧が舌根沈下などでの上気道閉塞を阻むので、いびきも無呼吸も減ります。これは保険適応になっています。

 

 歯科装具は、下あごを少し前に突き出すことによって上気道を広く保とうとするもので、突き出した状態で歯形をとり、睡眠中にそれを噛んでいる方法です。自費です。
 外科治療としては、軟口蓋を切除して、広くする方法もありますが、一般的ではありません。扁桃が大きい場合は、耳鼻科に相談すべきでしょう。