院長ごあいさつ
Greeting

社会医療法人 仁厚会
医療福祉センター倉吉病院 院長
兼子 幸一
(第十代倉吉病院院長) 令和3年4月1日より
令和3年4月1日付で、田中潔前院長の後任として病院長に就任致しました。ここに謹んでご挨拶申し上げます。
こころの病(精神疾患)で起こる辛さは、当事者御自身でないとわからないもののように思います。身体の病気のように、目に見える問題や何かの検査をすれば分かるということが少なく、患者さん自身が感じていらっしゃる辛さは、周りの方々に伝わりにくいのです。しかし、こころの病が患者さんの生活や人生に及ぼす影響は非常に強いことが分かってきました。ある病気が、患者さんの生命や生活に与える影響の強さの指標として世界保健機構(WHO)が採用している障害調整生存年数というものがあります。この指標は、ある病気が、寿命に与える影響と病気になった後の生活に与える好ましくない影響の強さの両方を合わせたもの(数字が大きいほど悪い影響が強い)です。近年、障害調整生存年数が大きい20の病気のうち、精神疾患が5つを占めることが分かってきました。くわえて、厚生労働省も、平成24年に、それまでの4大疾病(がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病)に精神疾患を加えて5大疾病を重視する医療計画を作成し、各医療機関の機能分担や連携を推進することの重要性を提案しています。
このように生命や生活に影響を及ぼすこころの病ですが、精神医療の実践においては確実な進歩が起きています。お薬を使う薬物療法とカウンセリングやリハビリテーションなどの様々な心理社会的治療法が治療の車の両輪となりますが、いずれの治療法においても、単に症状を軽くするだけでなく、こころの病を抱えるご本人自身の主観的な満足感を高めることを重視するようになっています。
当院は鳥取県中部圏域で唯一の入院施設のある精神科医療機関です。一人一人の患者さんのニーズに合った医療、リハビリテーション、福祉を提供すべく、そして、主観的な満足感を高めるべく、病院スタッフ(精神科医、看護師、精神保健福祉士、臨床心理士、作業療法士、栄養士そして事務職)が互いに十分な連携を取り、患者さんの疾病からの回復、そしてその先にある社会参加を支えて参りたいと考えております。ここでも、倉吉病院の歴代の理事長、院長の先生方が、開院以来65年にわたり築き上げて参りました「主役はいつも患者さん」という当院の行動規範は、時代が変わっても生き続けています。
精神疾患にかかられても、適切な医療や福祉を受けることによって、患者さんが希望をもち続けることができますよう、職員一同、患者さんやご家族の伴走者としての役割を果たして参りたいと存じます。