気分障害といわれる疾患は?
「気分障害」とは、感情のコントロールが難しくなり、気分が極端に落ち込んだり、反対に高揚したりする状態が続く精神疾患の総称です。これらの状態は、単なる気分の波ではなく、脳内の神経伝達物質のバランスが崩れることによって引き起こされる病気です。

主な気分障害には、以下の疾患が含まれます。
うつ病
気分がひどく落ち込み、何事にも興味や意欲が湧かなくなる状態が続きます。食欲不振、不眠、疲労感、集中力の低下といった症状を伴うことが多いです。
双極性障害(躁うつ病)
抑うつ状態とうつ状態を繰り返す病気です。躁状態では、気分が異常に高揚し、眠らなくても平気になったり、おしゃべりになったり、根拠のない自信に満ち溢れたりします。一方、うつ状態では、うつ病と同じような症状が現れます。
気分変調症(持続性抑うつ障害)
軽いうつ状態が2年以上続く病気です。うつ病ほど症状は重くないものの、日常生活に支障をきたすことがあります。
PMDD(月経前気分不快症)
月経前になると、激しい抑うつ感、イライラ、不安といった精神症状が強く現れる病気です。
これらの疾患は、単なる「気の持ちよう」で解決できるものではありません。しかし、適切な治療を受けることで、症状はよくなり、安定した生活を送ることが可能です。
気分障害で生じやすい症状は?
気分障害の症状は、心と体の両面に現れます。ご本人だけでなく、周囲のご家族もその変化に気づくことがあります。
1. 精神面の症状
抑うつ感
- 悲しい、憂鬱な気分が続き、希望が持てなくなる。
不安感、焦燥感
- 漠然とした不安に襲われたり、イライラして落ち着かない。
興味・関心の喪失
- 以前は楽しかった趣味や活動に興味が持てなくなる。
思考力の低下
- 集中力が続かず、物事を決めるのが難しくなる。
自責の念、罪悪感
- 些細なことで自分を責めたり、強い罪悪感に苛まれたりする。
2. 身体面の症状
睡眠障害
- 寝つきが悪くなる、夜中に何度も目が覚める、朝早く目が覚めるなど。
食欲の変化
- 食欲がなくなって体重が減ったり、反対に過食になったりする。
強い疲労感
- 十分に休んだはずなのに、体がだるく、疲れが取れない。
頭痛、めまい、肩こり
- 原因がはっきりしない身体の不調が続く。
3. 行動の変化
引きこもり
- 人に会うのを避けるようになり、家に閉じこもりがちになる。
飲酒・喫煙の増加
- ストレスを解消しようとして、お酒やタバコの量が増える。
自傷行為
- 自分自身を傷つけてしまうことがある。
これらの症状が2週間以上続く場合は、
気分障害の可能性があります。
ご本人様へ(抑うつ・不安・不眠等があると感じたら)
「朝、起きるのがつらい…」
「何事にもやる気が起きず、一日中だるい…」
「周りの人は楽しそうなのに、自分だけ取り残されたような気がする…」
もし、あなたがこのような気持ちを抱えていらっしゃるなら、それはあなたの心が「もう限界だ」と伝えているのかもしれません。
うつ病をはじめとする気分障害は、決してあなたの性格や気の持ちようの問題ではありません。それは、脳のバランスが崩れて引き起こされる病気なのです。
病気であることを認め、治療を始めることは、決して弱いことではありません。むしろ、自分自身を大切にするための、とても勇気ある一歩です。
当院では、あなたの話をじっくりと伺い、秘密は厳守します。あなたの心と体の状態を正確に把握し、あなたに合った治療法(薬物療法、精神療法、生活習慣のアドバイスなど)を一緒に考えていきます。
どうか、安心してご相談ください。一人で抱え込まず、私たちに頼ってください。
ご家族の方へ(大切な家族が気分障害で悩んでいるときには)
「家族が最近、ふさぎ込んでいる…」
「何を話しかけても、ろくに返事をしてくれない…」
「食事も睡眠もまともに取っていないようだ…」
大切なご家族の様子がいつもと違うとき、戸惑いや心配を感じるのは当然のことです。
しかし、安易に「頑張れ」と励ましたり、「気のせいだよ」と軽く受け流したりする言葉は、かえって相手を追い詰めてしまうことがあります。気分障害の患者さんは、すでに十分に頑張っており、これ以上頑張ることができない状態にあります。
まずは話を聞く姿勢を示す
「いつでも話を聞くよ」「つらいことがあったら教えてね」と優しく伝え、本人が話したいときに話せる環境を作りましょう。
否定しない、決めつけない
「そんなことで悩むなんて…」「考えすぎだ」といった言葉は避け、相手の感情をそのまま受け止めましょう。
休息を促す
「家事は手伝うから、休んでいてね」と声をかけたり、本人が安心して休める環境を整えたりしましょう。
受診を勧める
ご本人が病院に行くことをためらっている場合は、「身体が辛そうだから、一度一緒に病院に行ってみない?」と優しく提案してみましょう。
また、ご家族自身もつらい気持ちを抱え込まないでください。ご本人が受診をためらわれる場合でも、まずはご家族だけでご相談にお越しいただくことも可能です。専門のスタッフが、どのように接すれば良いか、具体的なアドバイスをさせていただきます。
ご家族の理解とサポートは、患者さんご本人の回復にとって、何より大きな力になります。