認知症はどんな病気?
「認知症」とは、さまざまな原因によって脳の神経細胞が壊れ、記憶、思考、判断などの認知機能が低下し、生活に支障をきたすようになる状態を指します。いわゆる「加齢によるもの忘れ」とは異なり、単に記憶の一部を忘れるだけでなく、体験全体を忘れてしまったり、時間や場所の感覚がわからなくなったりすることが特徴です。

認知症には、以下の症状が確認されます。
記憶障害
新しいことを覚えられなくなったり、以前の出来事を思い出せなくなったりします。
見当識障害
時間、場所、人がわからなくなります。「ここはどこ?」「今日は何日?」といった問いに答えられなくなります。
理解・判断力の低下
話の内容が理解できなくなったり、適切な判断ができなくなったりします。
実行機能障害
計画を立てたり、順序立てて行動することが難しくなります。料理の手順がわからなくなる、買い物の計画が立てられないなど。
言語機能の低下
言葉が出てこなくなったり、話が通じにくくなったりします。
認知症は、その原因となる病気によっていくつかの種類に分けられます。
アルツハイマー型認知症
脳に「アミロイドβ」などの異常なたんぱく質が蓄積し、神経細胞が壊れていくことで発症します。最も多いタイプの認知症です。
レビー小体型認知症
脳の神経細胞に「レビー小体」という異常なたんぱく質が蓄積することで起こります。幻視(実際にはないものが見えること)やパーキンソン病のような体の動きの障害が特徴的です。
血管性認知症
脳梗塞や脳出血など、脳の血管の病気によって起こります。できることとできないことがまだら状に現れることが多いとされています。
前頭側頭型認知症
脳の前頭葉や側頭葉が萎縮することで起こります。人格の変化や反社会的な行動、同じ行動を繰り返すなどの特徴が見られます。
認知症の症状は徐々に進行しますが、早期に診断し、適切な治療やケアを行うことで、進行を遅らせ、ご本人とご家族の負担を軽減することができます。
MCIはどんな状態?
「MCI」とはMild Cognitive Impairmentの略で、「軽度認知障害」と訳されます。これは、年齢の割には物忘れなどの認知機能の低下が見られるものの、日常生活にはまだ支障がない状態を指します。
MCIの特徴1. 精神面の症状
物忘れなどの認知機能の低下を自覚している、あるいはご家族が気づいている。
知能検査を行うと、年齢や学歴に比べて低い点数が出ることがある。
しかし、日常生活(買い物、家事、仕事など)は自立して行える。
MCIは「認知症予備軍」とも呼ばれ、このまま放置すると5年間で約半数が認知症に移行すると言われています。
しかし、MCIは必ずしも認知症に移行するわけではありません。中には元の状態に戻る方もいらっしゃいます。MCIの段階で専門医の診断を受け、生活習慣を見直したり、適切な予防策を講じることで、認知症への進行を遅らせたり、発症を予防できる可能性が高まります。
ご本人様へ(ものわすれが進んだと感じたら)
「最近、どうも物忘れがひどくなったな…」
「さっきまで考えていたことが思い出せない…」
「昔はできていたことが、なんだか難しくなった…」
もし、このような気持ちを抱えていらっしゃったら、一人で悩まずに、ぜひご相談ください。
物忘れは誰にでも起こることですが、それが日常生活に影響を及ぼし始めたら、それは体のSOSかもしれません。認知症というと、どうしても暗いイメージを持たれるかもしれません。しかし、早期に診断を受けて適切な治療を開始すれば、その後の進行を穏やかにし、あなたらしい生活を長く続けていくことができます。
また、認知症の症状は、うつ病やその他の疾患が原因で起こっている場合もあります。原因を特定し、適切な治療をすることで、症状が改善することもあります。
当院では、あなたの話をじっくりと伺い、専門的な検査を通じて、現在の状態を正確に把握します。そして、あなたに合った治療法や、今後の生活について一緒に考えていきます。どうぞ、お気軽にご相談ください。
ご家族の方へ(大切な家族が認知症かもと思ったら)
「親が同じ話を何度も繰り返すようになった…」
「通いなれた道で迷子になったと聞いた…」
「これまでできた家事が、なんだかおぼつかない…」
大切なご家族のこのような変化に気づかれたとき、不安や戸惑いを感じるのは当然のことです。
「もしかして認知症かも…」そう感じたとき、ご本人にどう伝えればいいのか、どのように対応すればいいのかわからず、悩まれる方も少なくありません。
しかし、最も大切なのは、できるだけ早く専門医に相談することです。
なぜ早期相談が大切なのでしょうか?
原因の特定
認知症によく似た症状は、別の病気(うつ病、甲状腺機能低下症など)でも起こることがあります。早期に診断することで、適切な治療につなげることができます。
進行の抑制
認知症のタイプによっては、進行を遅らせる薬があります。MCIの段階で生活習慣の改善に取り組めば、認知症の発症を予防できる可能性もあります。
安心感の獲得
診断がつかなくても「大丈夫」とわかれば、ご家族の不安も軽減されます。診断がついても、今後の見通しや利用できる社会資源(介護サービスなど)を知ることで、安心して向き合うことができます。
ご本人のケア
症状が軽いうちにご本人の意思を尊重した今後の計画を立てておくことができます。
「病院に行こう」と切り出すのが難しいと感じられる場合は、「最近、物忘れが気になるから、一度一緒に健康診断を受けてみない?」といった誘い方をしてみるのも一つの方法です。
当院では、ご家族からのご相談も承っております。ご本人が受診をためらわれる場合でも、まずはご家族だけでお話しを伺うことも可能です。専門のスタッフが、丁寧にお話を聞き、今後のサポートについてご提案させていただきます。一人で抱え込まず、私たちを頼ってください。