統合失調症とは?
「統合失調症」は、考えや感情、行動をまとめることが難しくなり、現実とそうでないものの区別がつかなくなる状態が続く精神疾患です。かつては「精神分裂病」と呼ばれていましたが、病気への誤解や偏見をなくすため、2002年に「統合失調症」という名称に変更されました。
この病気の原因は、まだすべてが解明されているわけではありませんが、脳内の神経伝達物質(ドパミンなど)のバランスが崩れることや、生まれつきの体質、ストレスなどが複雑に絡み合っていると考えられています。
決して、本人の性格や心がけが悪いから発症するわけではありません。誰にでも発症する可能性のある病気です。
適切な治療を受けずに放置すると、症状が重くなり、社会生活を送ることが困難になる場合があります。しかし、早期に発見し、適切な治療を継続すれば、症状をコントロールし、元の生活を取り戻すことも十分に可能です。

どのような症状があるの?
統合失調症の症状は、主に「陽性症状」「陰性症状」「認知機能障害」の3つに分けられます。
1. 陽性症状
通常では見られない、現実にはないものが見えたり聞こえたりする症状です。
幻覚
実際にはない声が聞こえる(幻聴)のが最も一般的です。他人の声が聞こえたり、自分を批判したりする声が聞こえることもあります。
妄想
明らかな誤った内容を、訂正されても信じ込んでしまう症状です。「誰かに監視されている」「悪口を言われている」といった被害妄想がよく見られます。
思考の混乱
考えがまとまらず、話が飛躍したり、支離滅裂になったりします。
2. 陰性症状
本来あるべき感情や意欲が失われてしまう症状です。
感情の鈍麻
喜怒哀楽の感情が乏しくなり、表情があまり変わらなくなります。
意欲の低下
何事にもやる気が起きず、趣味や関心事への興味を失い、引きこもりがちになります。
思考の貧困
考えが浮かばなくなり、会話が途切れがちになります。
3. 認知機能障害
記憶力、注意集中力、判断力などの認知機能に障害が現れることがあります。
注意力の低下
一つのことに集中し続けることが難しくなります。
記憶力の低下
新しいことを覚えたり、以前の出来事を思い出したりすることが難しくなります。
計画・実行力の低下
物事の段取りを考えたり、計画通りに行動したりすることが難しくなります。
これらの症状は、急に現れることもあれば、少しずつ現れることもあります。特に陰性症状は、周りからは「怠けている」「やる気がない」と誤解されやすく、本人もご家族も気づきにくい場合があります。
ご本人様へ(統合失調症かもしれないと思ったら)
「最近、周りの人には聞こえない声が聞こえる気がする…」
「みんなが自分の悪口を言っているような気がして、怖くて外に出られない…」
「何をしようにもやる気が起きず、一日中ぼーっとしてしまう…」
もし、このような体験をされていて、それが長く続いているなら、どうか一人で悩まないでください。
それは、あなたの心が弱いからではありません。統合失調症という病気は、あなたが悪いわけではなく、誰にでも起こりうる病気です。
多くの人が、統合失調症に対して「怖い」「治らない」といったイメージを持っているかもしれません。しかし、それは誤った認識です。早期に専門の医師の診断を受け、適切な治療を開始すれば、症状はよくなり、社会生活を送れるようになります。
治療の第一歩は、「もしかしたら病気かもしれない」と認め、専門家に助けを求める勇気です。当院では、あなたの話をじっくりと伺い、秘密は厳守します。あなたの心と体の状態を正確に把握し、あなたに合った治療法を一緒に考えていきます。
どうか、安心してご相談ください。一歩踏み出すことで、あなたはもっと楽に、あなたらしく生きられるようになります。
ご家族の方へ(大切な家族が統合失調症かもと思ったら)
「家族の様子が、なんだか最近おかしい…」
「誰かと話しているように独り言を言っている…」
「『監視されている』と怯えているようだ…」
大切なご家族のこのような変化に気づかれたとき、どうすれば良いか分からず、不安や戸惑いを感じるのは当然のことです。
統合失調症は、ご本人が病気だと認識するのが難しい場合があります。そのため、ご家族が「病院に行こう」と勧めても、「自分は病気じゃない」と強く拒否されることも少なくありません。
しかし、最も大切なのは、できるだけ早く専門医に相談することです。早期発見・早期治療が、回復への鍵となります。
ご家族にできること
無理に説得しない
「幻聴は気のせいだ」「妄想は考えすぎだ」と頭ごなしに否定すると、かえってご本人が心を閉ざしてしまうことがあります。
まずは相談
ご本人が受診を拒否される場合でも、まずはご家族だけでご相談にいらしてください。現在の状況やご本人の様子を詳しく伺い、専門的なアドバイスをさせていただきます。
専門家のサポートを求める
「共依存」にご注意ください: ご家族が依存症患者さんの問題に深く関わりすぎて、ご自身の生活が困難になる「共依存」という状態に陥ることもあります。まずはご家族ご自身が心身ともに健康であることが大切です。
当院では、ご家族からのご相談も承っております。ご本人が受診をためらわれる場合でも、まずはご家族だけでお話しを伺うことも可能です。専門のスタッフが、丁寧にお話を聞き、今後のサポートについてご提案させていただきます。一人で抱え込まず、私たちを頼ってください。